頭を打った(すぐに泣いた) 頭を打った(吐く・意識がない)
切り傷・すり傷(傷が浅く、出血が少ない) 切り傷・すり傷(傷が深く、出血が多い)
やけど(狭い範囲) やけど(広い範囲)
とげが刺さった 指などをはさむ
うちみ・ねんざ 脱臼・骨折
鼻血 異物を飲み込んだ
鼻や耳に異物が入った 目に異物が入った
感電 おぼれた

症状

頭を打った(すぐ泣いた)

お子さまは、からだの割合に対し頭が大きく重いのでバランスをくずしやすく、転んだときに頭を打つことがよくあります。

頭を打った直後に泣いて、すぐに泣きやんだ場合は、しばらく安静にして様子をみるようにします。

こぶができた場合は、冷たいタオルで冷やすようにします。他にもあざや痛がる場所がないか、チェックしてください。

大きくなっていくこぶ、ぶよぶよしたこぶは、内部に血腫(けっしゅ:血のかたまり)ができている恐れがあるので、医療機関を受診しましょう。

内出血の場合は、頭を打った後時間をおいて具合が悪くなることがあるので、念のため、当日は入浴や外出をしないようにし、2日間ぐらいは様子を観察しましょう。

頭を打った(吐く・意識がない)

すぐに泣きやんで元気にしているときは、あまり心配はありませんが、いつもと様子が違い、ぐったりして意識がない、吐く、息ができない、呼吸が苦しそう、顔色が悪いといった状態のときは、救急車を手配し、至急医療機関を受診しましょう。

くり返し吐く場合は、吐いたものが気管やのどにつまらないように横向きに寝かせます。意識がないときは、あごをあげて気道を確保し、窒息しないよう気をつけてください。

緊急を要するため、救急車を手配しましょう。119番に電話した際には、お子さまの年齢、いつ、どこで、どうなったか、今はどんな状態かを、できるだけ落ち着いて伝えるようにします。

意識を確認するために、名前を呼んだり声をかけたりすることは大切ですが、からだをゆすったり、急に動かしたりしてはいけません

切り傷・すり傷(傷が浅く、出血が少ない)

特に歩き始めたお子さまは、切り傷やすり傷をつくりやすいものです。出血しても慌てず、傷の様子をよく確かめましょう。

転んだ時に他に傷がないか頭を打たなかったかを確認してください。

小さな傷はまず流水で洗い流し、消毒薬をつけて絆創膏(ばんそうこう)を貼ります。傷口が広い場合などには、必要に応じてガーゼや包帯を使用します。

傷がなかなか治らないときは、とげやガラスの破片、石などが入って、化膿していることも考えられます。医療機関を受診してください。

お子さまはケガをしたことに驚いて、泣きやまないことがあります。大きな傷ではないと判断したら、お子さまの気持ちを上手にそらしてあげましょう。キャラクターなどの絆創膏(ばんそうこう)を貼ることで、気がまぎれることもあります。

切り傷・すり傷(傷が深く、出血が多い)

出血が多いときは、すぐに止血処置をする必要があります。

日頃から簡単な止血法を覚えておきましょう。

傷が深く、出血が多い場合は、止血処置をして、医療機関を受診して下さい。緊急の場合には、救急車の手配も考慮しましょう。

清潔なガーゼなどを傷口にしっかりあてて圧迫し、止血します。傷のある場所を心臓より高く上げると、止血しやすくなります。

ガラスなどの大きい破片が刺さっているときには、抜かずにそのまま医療機関を受診してください。古い釘などがささった場合には、破傷風のおそれがあるので、医療機関を受診しましょう。

傷口を強く圧迫しても出血が止まらないときは、腕であれば上腕の内側足であれば太もものつけ根中央部を押さえる、または布でしばるなどして止血します。

やけど(狭い範囲)

熱い食品、ポットのお湯、ストーブ、アイロンなど、家の中にはやけどの原因となるものがたくさんあります。少しの油断で事故はおこるため、お子さまの手の届くところに原因となるものを置かない、近づかせないようにするなど、普段から注意しましょう。

水道などで水を流しながら冷やし、やけどの範囲や深さを確かめます。水圧によって痛みが増すため、お子さまは嫌がることがありますが、しっかりと冷やすことが大切です。

やけどをしたら、とにかく冷やします。水道の水を流しっぱなしにして、やけどをした部分を15〜20分以上冷やしてください。水ぶくれ(水疱 : すいほう)があるとき、さわると痛がるときは清潔なガーゼをあて、包帯でくるむとよいでしょう。

水ぶくれが大きいとき、赤くならず白くなっている場合(皮膚の深部までやけどがひろがっていることがあります)には、冷やした後すぐに医療機関を受診しましょう。

医療機関を受診する際には、やけどの箇所には何も塗らないでください。

やけど(広い範囲)

お子さまの皮膚は大人に比べて薄いため、低い温度でも深いやけどになりやすい傾向があります。また、電気毛布や電気あんかなどによる低温やけどにも注意してください。

熱いものがからだの広い範囲にかかってしまったときなど、やけどが広範囲な場合は、流水で十分に冷やしながら、やけどの広さや程度をみます。

範囲が広い場合も、シャワー浴槽などを使ってしっかり冷やします。服の上からやけどをしたときは、あせらずハサミをつかって破るなどして脱がします。皮膚とくっついている場合もあるので、無理には脱がさず、そのまま冷やしてください

体の広い部分が赤くなっている場合、流水で冷やしたあとに、医療機関を受診しましょう。また、片手や片足など、からだの表面積の10%以上がやけどを負った場合、一刻を争うため、救急車を手配してください。

赤ちゃんの場合、長時間冷やすと低体温になる危険性があります。また、やけどの後の感染に対する抵抗力も弱いため、小さい範囲のやけどでも医療機関を受診してください。

とげが刺さった

木の枝や木片など、どのようなとげがどこに刺さっているのか、よく観察して対処しましょう。

お子さまが夢中で遊んでいて、気づくのが遅れることもあります。指先を気にしている様子がみられたら、チェックしてみてください。

とげがみえている場合、毛抜きなどで抜きます。とげの頭が見えないときには、針をガスやライターなどの火で焼いて消毒してから皮膚をそっとよけ、とげの頭を出してから抜いてください。

破片が残っていると化膿することがあります。なかなか抜けないときは、無理をせず医療機関で抜いてもらった方がよいでしょう。

抜いたあとは消毒液で消毒して、絆創膏(ばんそうこう)を貼りましょう。

指などをはさむ

玄関、浴室、トイレなどのドア、窓、家具の扉など、お子さまが指をはさむ事故はあらゆるところでおこります。

挟んだ箇所が赤くはれ、ときに爪がはがれたり、大きな血豆ができる場合もあります。はさんでしまった部分がはれて曲がらない場合には、骨折の可能性もあります。

お子さまはびっくりして泣いている場合もあるので、少し落ち着いてから、はさんだ部分の傷と痛み、ちゃんと動かせるかどうかを確認してください。

骨折の可能性があるときは、副木をあてて動かさないようにして医療機関を受診してください。爪がはがれた、血豆ができたときには、痛みがひどいので、冷やしながら病院へ行きましょう。

ドアを閉めるときには、必ずお子さまの姿を確認するようにしましょう。また、お子さま自身でドアを閉めることができる場合には、ゆっくり閉めるように教えてあげてください。

ドアクローザー(ドア上部の金具)がついている場合は、ゆっくりしまるように調節することができます。また、急に閉まらないようにする器具も市販されています。

うちみ・ねんざ

うちみ(打撲)は、物にぶつかることで皮膚の下にある組織が損傷した状態です。

ねんざは、関節に無理な力が加わり、靱帯(じんたい)などが損傷した状態をいいます。

うちみは、ぶつかったところがはれたり、青紫色になったりします。

ねんざは、関節のはれとともに痛みをともないます。

小さいお子さまは自分ではっきり症状を伝えることができないため、活発に遊んでいた後などに痛がる場合は、注意しましょう。

うちみ、ねんざともに動かさずに安静にして、冷やすことが大切です。軽いうちみであれば、氷水で冷やしたり、冷湿布をしておくと改善します。ねんざの場合も患部を冷やして、固定して動かさないようにします。

患部の様子だけでねんざの程度を判断するのは、難しいといわれています。また、骨折や脱臼とも区別しにくいことがあるので、応急処置をした後は、念のため医療機関を受診するようにしましょう。

足首をねんざすると、すぐにはれあがるので、靴が脱げなくなることがあります。ねんざの可能性があるときは、まず靴をそっと脱がせてあげましょう。

脱臼・骨折

関節に無理な力が加わって、関節がはずれてしまったものを脱臼とよびます。脱臼は、股関節や肩関節、ひじや指の関節でもおこります。

腕が強くひっぱられた後に痛みを訴えたり激しく泣いたりしたときは、脱臼の疑いがあります。

骨折の場合は痛みのほか、はれや内出血がみられることもあります。

脱臼の場合は、動かさなければ痛まないことが多いので、患部を動かさないようにして医療機関を受診します。骨折が疑われる場合も、雑誌や厚紙、傘などを添えて固定し、医療機関を受診してください。

脱臼や骨折、およびねんざは、お子さまの場合区別がつきにくいことが多いものです。動かすと痛みを訴える、激しく泣くときには、安易に判断せず医療機関を受診しましょう。

適切な処置をすることでお子さまの骨折は早く回復します。いつも動かす箇所を動かそうとしないような、小さな変化に注意してあげましょう。

鼻血

鼻の粘膜には細かい血管が集まっていて、指などで傷をつけると、よく鼻血がでます。しかしながら、適切な処置をすれば、短時間で止まることがほとんどです。

お子さまは鼻血が出たことで、びっくりして泣くことがあるかもしれません。ひざの上や椅子に座らせて落ち着かせつつ、止血をしましょう。

小さいお子さまの場合は、お母さまのひざの上に座らせ、お子さま自身で座ることができる場合は、椅子に座らせます(出血した際に頭を後ろに反らせたり、寝ころばせると、口に血が回って気分が悪くなることがあります。また、口に回った血は、吐き出させるようにします)。

前を向かせて、出血している方の小鼻を数分間押さえてください。やわらかい脱脂綿などをつめてから、圧迫するとさらに止まりやすくなります。出血が多い場合は、鼻の付け根を濡らしたタオルなどで冷やしてください

応急処置をしても止まらない、出血がひどい、長時間ダラダラと止まらない場合は、医療機関を受診してください。

普段から爪を短く切っておくことは、指で傷つけることによる鼻血の予防になります。鼻血が止まった後は、すぐに鼻をかませないようにしてください。また、直後の激しい遊びや入浴も避けるようにしましょう。

異物を飲み込んだ

誤飲はお子さまの事故のなかで、もっとも多いもののひとつです。タバコ、ボタン電池、洗剤など、身近なものが大きな事故につながります。また、吐かせるかどうかなどの応急処置が異なるので、身近な物に対する誤飲の処置は、頭に入れておきましょう。

タバコの場合@火をつけていない葉の状態を食べる、A吸いがらを食べる、Bジュースの缶などに水などを入れ、そこに吸いがらを入れた際の液体(ニコチンが溶けだした状態)などを飲むケースがみられます。症状は、嘔吐、下痢、顔が青白くなるなどがみられます。まず、吐かせてから、すぐに医療機関を受診しましょう。

ボタン電池の場合はカメラや電卓などに使われており、アルカリマンガン電池、リチウム電池と種類もさまざまです。これらを飲み込んだ場合には、食道や胃の粘膜に穴をあけてしまうことがあります。お子さまがボタン電池を飲み込んだかもしれないと思われたら、吐かせず、直ちに医療機関を受診してください。

洗剤の場合は用途によってさまざまな種類があり、酸性・アルカリ性・中性に分かれます。いずれも吐かせずに、牛乳をコップ1〜2杯飲ませたあと、至急医療機関を受診してください。

また、お子さまが誤って飲んだ洗剤が酸性かアルカリ性かにより医療機関での処置が異なります。受診時には飲んだ洗剤の容器を持参するとよいでしょう。

鼻や耳に異物が入った

お子さまは遊びながら、耳や鼻に小さいものを入れてしまうことがあります。小さなおもちゃや、電化製品などの部品にも注意してください。

小さいお子さまの場合、鼻や耳に何か入れても訴えないことがあります。鼻や耳を気にしたり、頭をふったりするときは、確かめてみましょう。

鼻に入った時はお子さまができる場合には、入っていない方の鼻の穴を押さえてあげ、強く鼻から息を出すようにさせます。こよりでくすぐって、くしゃみを出させる方法もあります。

耳に入った時は虫が入った場合は、懐中電灯などで光をあてて、虫を誘い出します。水などの液体の場合には、こよりをつくってそっと耳の中に差し込んで吸わせます。よく見えない場合は、専門医を受診しましょう。

ピーナッツなどの豆を入れてしまうと、鼻の中でふやけて大きくなってしまいます。いずれも無理に取り出そうとすると奥に入り込むので、耳鼻科など医療機関を受診してください。ピーナッツなどは気管に入ると難治性肺炎の原因になります。

異物を入れていた場合、鼻血がでる、においのする鼻汁が続くなどで気付くこともあります。

また、耳や鼻につめて問題となるものとして、ボタン電池があります。入れたままにすると粘膜を傷つけるため、直ちに医療機関を受診してください。

目に異物が入った

ゴミなどは小さいものでも、目に入ると異物感があります。お子さまが汚れた手で目をこすらないように注意してください。

目に何かが入った場合、涙が止まらない、目を痛がる、目が赤い、光をまぶしがる、しきりに目をこするなどがみられます。

小さなゴミであれば、洗面器などにためた水の中でまばたきをさせるようにしたり、指でまぶたを開いてシャワーなどで洗い流します。洗剤や薬品が入ったときは洗い流してから、医療機関を受診してください。

異物がとれない場合や、とれた後も目が真っ赤になっている、涙がとまらない目を開けようとしないときには医療機関を受診してください。

洗剤や薬品の場合は、清潔なガーゼなどで目をおおい、医療機関を受診してください。目に入ったものによって医療機関での処置が異なるので、洗剤や薬品が入っていた容器をもっていくとよいでしょう。

目に異物が入ったときは、むやみにこするとさらに傷をつけてしまうことがあります。こすらせないように、気をつけてください。

感電

家庭用電源でも、感電する可能性があります。普段からお子さまがコンセントで遊ばないように注意してください。

まず、意識があるか確認してください。一瞬の感電でやけどなどの外傷もなく、びっくりして泣いているようであれば、しばらく様子を見守りましょう。意識を失っている場合、やけどがある場合は応急処置をして、すぐに救急車を呼ぶなどして医療機関を受診してください。

感電直後にお子さまの体に触れると、感電する恐れがあります。ブレーカーを落としたり、木製の棒などを使ってコンセントやコードからお子さまを離してから、意識があるかやけどなど外傷があるかのチェックをします。ショック状態でお子さまの脈が止まっている場合は、心臓マッサージをしてください。

やけどなどがなく、すぐに泣いて声をあげる場合は一安心ですが、意識のない場合は人工呼吸や心臓マッサージを行いながら、救急車を手配しましょう。

また、感電によるやけどは深部におよぶこともあるので、患部を冷やして医療機関を受診しましょう。

家庭での感電は、お子さまがコンセントの差し込み口に金属物(ピンやハサミなど)を突っ込んで遊んでいるときや、古くなって電線がむき出しになったコードをさわることで起こることが多いようです。安全のため、市販されているコンセントをカバーする器具の設置なども考慮しましょう。

おぼれた

楽しい水遊びが事故につながらないように、水辺ですごすときは十分気をつけてください。また、小さいお子さまにとってはお風呂や洗濯機も要注意です。

まず、意識があるか確認しましょう。すぐに泣いたときは、呼吸をしているということなので一安心です。ぐったりしているときは、ほほを軽くたたいたり、大きな声で名前を呼んでください

意識、呼吸、脈拍を確認し、反応がない場合は「気道確保」「人工呼吸」「心臓マッサージ」などの応急処置を行いながら、救急車の手配をしてください。

意識があり、大声で泣いているようであれば、落ち着かせて様子をみましょう。体が冷えきってふるえているようなときは、マッサージなどをして温めながら、医療機関を受診しましょう。

小さいお子さまは海や川だけでなく、家庭内の浴槽や洗濯機、ビニールプールなどのほんの10〜20センチの水深でも、おぼれる可能性があります。お子さまがひとり歩きをするようになると、水が入っているお風呂や洗濯機はふたを閉めていても危険です。目を離さない近づかせないようにするなど、十分注意してください。

海や川などの水辺でお子さまがおぼれた際、水に入って救助しようとすると、巻き込まれる場合もあります。いざという時、落ち着いて行動できるように、あらかじめ人工呼吸などの方法を習得しておくことが大切です。